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月曜日、火曜日

営業時間

11:00〜15:00

お問い合わせ先

古代米屋レストラン グリーンゲイブル
〒985-0862
宮城県多賀城市高崎1-22-1
東北歴史博物館1F
TEL・FAX:022-368-0616

グリーンゲイブルの歴史とこだわり

地元宮城県で発行されている情報誌「りらく6月号(2015年5月28日発行)」にグリーンゲイブルが紹介されました。


稲の原種、野生米の特徴を受け継ぐ古代米。そのうちの一つである黒米は、抗酸化作用があり、タンパク質やビタミン、ミネラルなどを豊富に含む。古代米専門店グリーンゲイブルでは、その黒米を使って健康的でおいしく色彩豊かな料理を提供し、土産品なども開発している。古代米との出会いから現在までの経緯を、代表の菅原さんに伺った。

20年先に求められる料理を

古代米を使った華やかな紫色のおにぎりと薄紫のおかゆ、黒みがかった紫の麺。それらに合わせた薄味のサラダや煮物。このヘルシーでおいしい「さくら米セット」は、古代米専門店であるグリーンゲイブルの代表的メニューだ。

古代米は、糠のむき方や白米の混ぜ具合などの加工の仕方で、味わいと色合いが変わってくる。「そこが古代米を使う醍醐味です」とグリーンゲイブル代表の菅原さん。「当店の料理は健康志向をベースにして、おいしさと、美しさにこだわっています」と情熱溢れる口調で語った。

菅原さんが古代米と出会ったのは、今から約15年前。当時は一般的な食材を使って、多賀城市内で路面店を経営していた。料理は好きだったが、何を極めればいいかわからず、試行錯誤の日々だったそう。そんなとき、農業を営んでいた親戚が古代米を持ってきた。一年くらい使ってみると、新鮮な古代米は、香りも味も良く、甘みがあることがわかってきた。そのため、油分・塩分・糖分などを削っても味のバランスがとれると確信するようになった。

食の安全についても考えていた菅原さんは、古代米を使い、新しい調理方法を取り入れ、身体にやさしく、より健康になるような食事を提供できないだろうかと思い至る。そして「20年先に求められる料理を作ってみよう」と決心した。

東北歴史博物館から「博物館内で古代米の店を開きませんか」と話がきたのは、古代米の料理の提供をはじめて、約2年が過ぎた頃だった。

古代米を守り、伝え続ける

多賀城市の歴史は古く、8世紀には東北の中心地として栄えた時代もあった。その市内にある東北歴史博物館のレストランの話が決まったとき、「はるか昔から今まで守り続けられた古代米を、これからも守り続けていく使命のようなものをいただいたような気持ちになりました」と菅原さんは話す。商工会のバックアップなどにより資金援助が得られるようになって、土産品の開発にも取り組めるようになった。

とはいえ、レストラン開店当初は、古代米を注文する一般の人々は少なく、予約の電話を受けて「うちは古代米の…」と言うと、切られたこともあったそうだ。来店した客に「白いご飯を出してほしい」と言われたことも。「でも一度も白いご飯を出しませんでした。古代米だけでやっていきたいという信念を曲げたくなかったんです」と菅原さんは当時を振り返った。

4・5年経つと、古代米の料理と知って予約する人々も出てきた。健康志向の家族連れが訪れ、小さいお子さんが薄味の料理を「おいしい」と言ってくれたり、先生に引率された小学生の団体が、残さずきれいに食べてくれたりしたこともあった。そんな一つひとつの出来事が、菅原さんの励みになっていった。より健康的な食事をめざし、マクロビオテックの考え方も取り入れた。いつしかベジタリアンの外国の人々も、来店するようになった。

そして東日本大震災が発生。店自体は大きな被害はなかったものの、多賀城市の沿岸を津波が襲った。震災後、臨時に弁当などを販売したときもあったが、店内のメニューは基本的には変えなかった。「この大変なときに、こういうメニューでいいのだろうか。もっと出すべき料理があるのかもしれない」と菅原さんは悩んだという。しかし、店に来た喪服を着た団体客に、涙ながらに「この料理が食べたかったのよ」と言われ、迷いが消えた。目の前の池に、睡蓮が咲いていた季節だった。「ここは極楽浄土ね」とその人たちは言ったそうだ。

また、奈良の東大寺に招かれ、関係者の支援もあって店のアイテムや仙台名物を販売することができた。その経緯にも、とても勇気づけられたとのことだった。

多賀城市で古代米を扱うお店は現在15件。菅原さんは、人々の健康のためにも、古代米の魅力がより広く伝わることを願っている。


 りらく6月号(2015年5月28日発行)より転載